代表挨拶

魂主義に基づく医療の推進をめざして
TL医療研究会は、高橋佳子先生のご指導のもと、30年以上、一貫して「人間を魂と受けとめる医療」をめざし、患者さんと病いに対して、心(内)と現実(外)を1つにつなぐ「カオス発想術」の実践に努めてきました。
一方、医療界では、患者さんの問題と医療者の心を切り離して捉える科学主義の根強い流れがあります。しかし近年、技術革新によって高度の機能を持った人工知能(AI)が出現し、「高い専門知識と技術が優れた医師の証」という従来のアイデンティティが通用しない時代が到来しつつあります。
そのような中、高橋先生は、2020年に起こった新型コロナウイルスのパンデミックは、医療問題であるとともに、人間の心(受発色)の問題であり、1人ひとりが生活習慣や栄養の改善によって自己免疫力を高めつつ、内なる魂の力を引き出すことの重要性を説かれています。
このような大きな時代の転換期にあって、真に求められる医療者像は、高度な専門能力のみならず、患者さんに寄り添い、対話者・同伴者として4つの痛み(肉体的、精神的、社会的、霊的痛み)を癒やすことのできる人格者であると確信しています。そして、それは、私たちが一貫して追求し、挑戦してきたTL医療そのものであります。
私たちTL医療研究会は、人間は「魂−心−肉体(現実)」の3層を生きる存在というまなざしによる医療観を確立し、より多くの実践例を蓄積しながら、魂主義に基づくTL医療を世界にお伝えして、1人でも多くの医療者と供にこの運動を推進してゆきたいと願っています。
2021年1月
TL医療研究会代表
許斐 博史(このみ ひろし)
代表プロフィール
許斐 博史(このみ ひろし)
1949年福岡県生まれ。1975年医学部を卒業、小児科研修の後、東京医科歯科大学、ハーバード医科大学、国立精神・神経センター神経研究所などで、脳や神経系に障害を起こすタンパク質や遺伝子の研究に取り組む。1991年より、脳性麻痺・知的障害・自閉症スペクトラム障害・注意欠如・多動性障害などに苦しむ子どもたちの医療現場に赴く。それ以来30年、「人間を魂と受けとめる医療」に挑戦し、同時に行政、学校、病院、療育施設等との協同によって、子どもたちの輝きや可能性が引き出される出会いを日々重ねている。2000年より医療型障害児入所施設・療養介護施設の施設長(院長)。医学博士。著書に『生まれてきてくれてありがとう──発達障害児施設の現場から』(三宝出版)。