私たちの実践

患者さんの心の痛みにも同伴できる歯科医師をめざして

私は、北海道の札幌で歯科医院を開業しています。日々の治療で感じることは、「患者さんの歯と心はつながっている」ということです。出会う患者さんは、必ず私にとって意味のある方なのだと感じています。そして、そのことを教えてくれたのが、TL人間学(魂の学)でした。

たとえば、10軒以上歯科医院を訪ねても、なかなか義歯が適合せず、当院を受診されたAさんという患者さんがいました。義歯をつくったところ、最初は適合して、「こんなにぴったりの義歯は初めて」と喜んでくれたのですが、数カ月すると合わなくなって、つくり直しました。

そんなことを3回ほど繰り返し、私もお手上げになり、「ウイズダム」(高橋先生がつくられた問題解決と創造のためのメソッド)に取り組みました。

すると、「私のつくった義歯に間違いはない。問題はAさんの側にある」と、一方的にAさんを責めている自分に気がつきました。後悔とともに、Aさんの痛みを理解し、方策を一緒に探してゆこうと願いました。

Aさんの悩みを聴くと、ご主人に不満があること、しかしご主人に心を開いて打ち明けられないことなどを話してくださいました。そのストレスが歯の「食いしばり」を起こし、義歯の不適合を生んでいるのではないかと感じた私は、「まずご主人のお話を聴いてみたらどうですか」とアドバイスしました。

「主人の話を聞くなんて無理」と渋るAさんを、来院のたびに励まし、『新・祈りのみち』(高橋佳子著、三宝出版)を一緒に読み、Aさんやご主人の心の傾向などについてお話ししました。

Aさんがご主人の話に耳を傾け始めるとともに、ご主人も変わり始めたそうです。それに伴い、やがてAさんのストレスも消え、「食いしばり」もなくなりました。何よりも、ご主人との絆が深まったことがうれしそうでした。

その結果、何と義歯の不適合が起こらなくなったのです。この症例は、高齢者や福祉団体など、様々な場で発表し、多くの反響を頂きました。

「ウイズダム」は、私に歯科医の使命と歓びを思い出させてくれました。TL人間学(魂の学)に基づく治療をこれからも続け、地域の皆さんの心と身体の健康を支えてゆきたいと思います。

永倉雅史さん

1枚1枚、丁寧にレントゲン写真を見ながら、「患者さんのどのような心の状態がこの患部をつくっているのか」と考える永倉さん

カルテ

カルテは患者さんの同伴の大切な記録。1枚1枚に祈りを込める

医院のスタッフは、患者さんへの関わり方や治療に対して切磋琢磨をしてもらう同志。「私たちはチーム『あおば歯科』なんです」と語る