テーマ「AIの時代に『心の力』を引き出す医療を実践する」
11月23日(日・祝)、「第34回トータルライフ(TL)医療学術集会」が秋葉原UDXカンファレンスにて開催され(Zoomでも中継)、医療・看護・福祉の専門家をはじめ、教育やICT技術の専門家、経営者、また、将来医療を志す高校生や大学生も含めて550名を超える方々が参加されました。
「トータルライフ(TL)医療学術集会」は、1992年以来、毎年新たなテーマで行われています。今年は、「AIの時代に『心の力』を引き出す医療を実践する」というテーマのもと、パネルディスカッション、シンポジウム、ポスターセッション合わせて31演題の発表がありました。
その1つ1つが、高橋佳子先生が提唱される「TL人間学」の「人間は『魂-心-現実(肉体)』を重層的に生きる魂存在」というまなざしに基づく新たな医療への挑戦であり、何よりもまず医療者自身が心を転換し、菩提心(本当の自らを求め、他を愛し、世界の調和に貢献する心)によって患者さんに真摯に向き合うことによって生まれた好転の症例報告にほかなりませんでした。
たとえば、自閉スペクトラム症・境界知能の方が自律的な情動調整が可能になった報告、multimorbidity(多疾患併存)の高齢者が想像を超えた新たな人生を歩み始めた報告、様々なバイアスを排除し、患者さんの話に深く耳を傾けることによって、10年以上診断がつかなかった病の診断がついて正しい治療につながった報告。また、1人のケアマネジャーが心を転換して「地域ケア個別会議」に臨み、その場に関わるスタッフの「支えたい」という願いが共鳴し、現実が大きく変わった報告など、そのすべてが、人間を物質と捉える従来の医療では解決が困難であった事態に新たな道を開いた実証であり、まさに医療の新しい未来の兆しが確かに生まれていました。
さらに、東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター人工知能医学研究部教授の中田典生先生による教育講演(演題「医療AIの最前線――技術革新、構造的な問題、そして多分野連携の戦略」)が行われました。医療分野でもAIが著しく進化している今だからこそ、心と魂を抱いた人間にしかできないことをいっそう確かにしながら、AIを使いこなして共存してゆく道を模索してゆく重要性を認識する場となったのです。
どれほど時代が変化しようとも、揺るぎない「魂」を中心に抱く人間を信じて、「心の力」を引き出す医療を実践するならば、その場に心ある人々の共鳴が生まれ、深い癒やしとともに、試練や困難に新たな道を開くことができる――参加者1人ひとりがその希望を確かにする1日となりました。

参加者の声
「心の力」によって道を開いてゆかれた演者の皆様に尊敬の念を抱いた
医療者を起点とした「心の転換」によって、患者さんとの関わりや患者さん(とそのご家族)の未来が変わっていったことに感銘を受けました。こういう実践発表は、普通の医療系学会にはありません。「菩提心」「因縁果報ウイズダム」「止観シート」など、高橋先生が提唱される「TL人間学」から生まれた様々なメソッドを駆使し、「心の力」によって道を開いてゆかれた演者の皆様に尊敬の念を抱きました。そして、魂としての成長を遂げられている姿に勇気とエネルギーを頂き、自分も続いてゆきたいと願いました。
(50代女性・医師・北海道)
このような場がもっと増えてほしい
発表者の皆さんの真摯な姿に感動しました。どの発表も素晴らしいと感じましたが、特に障がいのあるお子さんをもつ医師が、心の声を聞く実践をされている姿に照らされました。このような場がもっと増え、世界に発信してゆけるようになると素晴らしいと思います。それぞれの専門分野の方々の菩提心がより一層輝くことを願うとともに、私自身も菩提心を育み、挑戦してゆきたいと思いました。
(60代女性・福祉従事者・中京)
2025年問題に道をつける術がここにはある
AIにはなし得ない、人間の力と可能性を見せていただき、とても感動し、希望を感じました。2025年問題に確かに道をつける術がここにあることを実感しました。
(60代男性・福祉従事者・東京)
「心の力」の可能性の大きさに希望と勇気を頂いた
患者さんに関わった発表者の皆さんの温かい想いに涙があふれました。私は教育現場に携わっていますが、実際に、子どもたちを心底大切に想うことは大変なことです。昨年の学術集会を超える多くの発表、そして「心の力」の可能性の大きさに、希望と勇気を頂きました。
(60代女性・教育関係者・東京)
AIの時代に人間にしかできない力を見せていただいた
AIの力が人間の能力を超えようとしている時代に、人間が抱く「心の力」の大切さを信じ、実践され、正確なデータも含めて成果を出している医療者の方々がこんなに大勢いらっしゃることに驚きました。どの発表も衝撃的で、感動的でした。今後、AIの力がさらに大きくなってゆくと予想されますが、だからこそ、人間にしかできない力を納得がいくように見せていただいたと思います。
(60代女性・経営者・東京)
(文責:TL医療研究会)