「さくら・車いすプロジェクト」(さいとう工房代表の斎藤省さん創設)が「第6回企業ボランティア・アワード」大賞受賞!

2021年2月18日
お知らせ
経営

パキスタンに向けて電動車いすの積み込みを行っているところ。
後列右から3人目が、さいとう工房代表取締役の斎藤省氏

さいとう工房が生まれるまで

2021年1月、さいとう工房の「さくら車いすプロジェクト」が、「第6回企業ボランティア・アワード」(※)大賞を受賞しました。

(※)東京社会福祉協議会(東京ボランティア・市民活動センター)主催の「企業ボランティア・アワード」では、都内の企業で働きながら非営利団体でボランティアをしている方々の貢献を讃え、その活動を表彰する事業。

さいとう工房代表取締役の斎藤省氏は、「Golden Pathシリーズセミナー」で「魂の学」を学ぶお1人。もともと自動車整備会社に勤務していた斎藤さんは、自動車ラリーで世界中を走破し、その冒険は多くのマスコミで紹介されるほどでした。その後、自らボイラー会社を起業。飛ぶ鳥を落とす勢いで発展する会社の現実とは裏腹に、斎藤さんの心は次第に空しさに覆われてゆきます。やがて1人の障がい者との出会いが斎藤さんの人生を変え、28年前、東京の下町で車いすを製作販売するさいとう工房を始めました。
1人ひとりに合わせたオーダーメイドの電動車いすは、日本のみならず、海外へも広がってゆきました。

NPO法人「さくら車いすプロジェクト」の活動

パキスタンに大地震が起こった2005年のこと。
さいとう工房は、志あるパキスタン青年に技術提供を行い、車いすの自国生産を可能にします。2008年には、発展途上国では画期的な、政府による車いす交付制度が実現し、車いすのクリケット国際大会まで開かれるようになりました。
しかし、電動車いすの修理は高度な技術やメンテナンスが必要であることから、やがてさいとう工房の社員が、ボランティアでパキスタンに赴くようになり、長年にわたって蓄積された修理技術を伝承してゆきました。
その後、日本で不要になった中古電動車いすをパキスタンで利用していただいてはどうかというアイデアが持ち上がります。日本では、電動車いすの支給制度があり、全国で毎年約5000台が交換されていますが、その中で使用できる車いすを、全国の車いす業者やユーザー、支援団体等に呼びかけ、集荷場まで送っていただき、それらをボランティアが積み込み、パキスタンの障がい者団体に輸送する。その車いすを現地で修理し、必要とする方々に提供してゆく――。その計画が実現し、約10年で、980台の中古電動車いすが送付されています。
こうして、低所得者の方々も、電動車いすを入手できるようになり、パキスタンのみならず、ネパール、モンゴル、コスタリカ、ベトナムなど、各国から要請が来ています。
様々な専門家も参画したこの活動は、2011年4月、NPO法人「さくら車いすプロジェクト」として認可されています。

「さくら車いすプロジェクト」は、効率や生産性を重視する現代社会にあっても、障がい者や高齢者の方々がいきいきと輝き、人生を謳歌するための「もの」「システム」をつくり、社会に提案する、活動を行っているのです。
その原点と始まりは、高橋佳子先生と斎藤氏の出会いにほかなりません。高橋先生は、長年にわたって斎藤氏の人生に寄り添い、同伴し、その活動を見守り続けていらっしゃいます。
斎藤氏の歩みは、高橋佳子著『1億総自己ベストの時代』(三宝出版)に詳しく紹介されていますので、ぜひご一読ください。

さくら車いすプロジェクトの交流会(パキスタン・モンゴル)